腸-皮膚軸(gut-skin axis)

腸内環境と皮膚の状態が相関するという観察は古くからあった。1930年代、ストークスとピルズベリーは「腸-脳-皮膚理論」を提唱し、精神的ストレスが腸内環境を乱し、それが皮膚疾患を引き起こすという仮説を示した。

80年以上後の現在、この仮説はメタゲノミクスや免疫学の進歩により再評価されている。

メカニズム

腸内環境が肌に影響するルートは主に3つ:

1. 免疫調節──腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)が全身の炎症レベルを上昇させ、皮膚の炎症を悪化させる。

2. 代謝産物──短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸)は腸管バリアを強化するだけでなく、全身の抗炎症作用を持つ。腸内環境の悪化でこれが減少すると、皮膚にも影響が及ぶ。

3. 栄養吸収──腸のバリア機能低下(リーキーガット)により、本来吸収されるべきでない物質が血中に漏れ出し、免疫反応を引き起こす。

乳酸菌と肌質改善の研究

プロバイオティクスの摂取が肌質を改善するという臨床研究が蓄積されつつある。Lactobacillus rhamnosus GGのアトピー性皮膚炎への効果(Kalliomäki et al., 2001)は最も有名な報告のひとつ。

日本でもキリンや森永乳業などが「肌への機能性」を謳った乳酸菌製品を展開しており、機能性表示食品として届け出がなされている。